マイセン造形家、マイスターモデラー
ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー
言わずと知れた名作群を数多く輩出していますが、珍作中の珍作でコミカルな人形
「老婦と若き恋人~Rich old woman with young lover」
近日入荷いたします。


※上段写真は実際の作品、白黒写真は真贋判定にも用いられる「Meissen Collector's Catalogue」掲載写真です。
原型作者ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーは1731年にアウグスト強王の指名でマイセン製作所のモデラー(原型製作者)として採用されます。
1733年にマイスターモデラーに任命され数多くの人形やサービス類を手掛けますが、当作品はそんなケンドラー作品の中でも大変珍しく。コミカルな作品です。
1765年原型、老婦、青年と神話作品群に登場するサテュロスの子供も登場するグループフィギュリンです。
マイセン人形をご趣味とされる方はお気づきかもしれませんが、神話やギャラント、イタリアンコメディーなどいくつもの要素が盛り込まれた極めて珍しい作品です。
題材も日本風に言えば「若いつばめ」でしょうか…
表情やしぐさもコミカルで愛らしく、お金持ちの老婦が若き青年を誑かし、足元には山積みのお金、財宝箱の横にはサテュロス(小悪魔)
どことなく憎めない面白い作品です。
乞うご期待!
5/15 画像を更新いたしました。実際の作品
ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー(Johann joachim Kaendler 1706-1775)
彫塑家 マイセン磁器マイスターモデラー (マイセン製作所には1731年から1775年まで従事) 宮廷彫刻家のベンジャミン・トマエ氏の弟子となり王家の宝庫である緑天井(The Green Vaults)の彫刻制作に6年間携わります。 この時の仕事ぶりが評判されて、1730年には宮廷彫刻家の称号を預かりました。 翌年の1731年アウグスト強王のご指名でマイセン製作所のモデラー(原型製作者)として採用されます。 強王の夢の磁器の城、日本宮に飾る為に、短期間で多様な動物彫塑を作りました。 彼の彫塑は個性的でダイナミックでありながら優美で自然な美しさを持っており、天才的な才能を十分に発揮し、アウグスト強王にも高く評価されます。 しかし、彼の栄光も長くは続かず、最強のスポンサーであったアウグスト強王死後(1733年)は息子の3世には理解を得られず、得意な大型彫塑で等身大の王の騎士像製作を断念します。 強王死後のスポンサーは裕福な貴族。彼らからの注文で、様々なその新しいサービスセットの原型を作ります。 バロック様式、ロココ様式にも精通していた彼のサービスセットは貴族達からも賞賛を浴びます。